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【5分で分かる】国家資格キャリアコンサルタントの行動と自己研鑽

更新日:2020年11月28日


 

対人援助者であるキャリアコンサルタント・カウンセラーは、常に自己研鑽の姿勢が求められる

 

こんにちは。キャリ男人事サロン代表のキャリ男です。


 今回は、対人援助を行うキャリアコンサルタントやカウンセラーの行動と自己研鑽の姿勢についてまとめてみたいと思います。


筆者の詳細プロフィールは「こちら」


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なぜ、行動と自己研鑽が重要なのか?


 キャリアコンサルタントに求められる行動や自己研鑽は、キャリアコンサルタントとして活躍していきたい方にとっては、非常に重要な視点であり、高品質なキャリアコンサルティングをクライエントに提供する上で、誰もが認識しておく必要があります。


 国家資格キャリアコンサルタントの有資格者は、国の施策の推進によって年々増加しており、最終的には、約10万人に増やすことを数値目標としています。



ちなみに、キャリアコンサルタントとは・・・


 労働者などの職業の選択、職業生活設計、職業能力の開発・向上に関する相談に応じ、助言や指導を行う専門家で、平成27年の職業能力開発促進法改正を経て、平成28年4月1日から国家資格となりました。

 キャリアコンサルタント登録制度は、キャリアコンサルタントの能力の維持・向上や計画的な養成を目的に、

(1)キャリアコンサルタント試験の受験資格となる養成講習

(2)キャリアコンサルタント試験

(3)試験に合格した人のキャリアコンサルタント名簿への登録

(4)登録を更新するための更新講習

などから構成されています。



 しかしながら、キャリアコンサルタントの有資格者になれたからといって、誰もが活躍できるとは限らないのが現実のようです。

 ※国家資格キャリアコンサルタントは業務独占資格ではありません(2020年現在)


 そのため、単に、個人に対してキャリアコンサルティングができるということに留まるのではなく、キャリアコンサルタントに求められる倫理や行動を深く理解し、さらには、他のキャリアコンサルタントより抜きん出たコンサルティングの技術力を高める自己研鑽が必要になってくるのです。


 

1.キャリア形成及びキャリアコンサルティングに関する教育・普及活動


 キャリアコンサルタントは、個人に対してキャリアコンサルティングやカウンセリングを通じた相談支援を行うことはもちろんですが、キャリアコンサルタントに求めれることは、この限りではありません。


 個人や組織のみならず社会全般に対して、様々な活動を通じてキャリア形成やキャリアコンサルティングの重要性、必要性などについて教育・普及することができることも求められています。


 つまり、教育や普及活動としての意味合いも持っているということです。


 "キャリア・コンサルティングは、 個人に対する相談支援だけでなく、キャリア形成やキャリア・コンサルティン グに関する教育・普及活動、組織(企業)・環境への働きかけ等も含むもので あることを十分に理解していること。"



 また、それぞれのニーズを踏まえながら主体的なキャリア形成やキャリア形成支援に関する研修プログラムの企画、運営を行うことができることとあります。


 つまり、個人という枠組みのみならず、組織(企業)への働きかけができるキャリアコンサルタントが求められています。


 教育・普及活動は、対象の影響が広いキャリアコンサルタント活動と言えるかもしれません。


 

2.環境への働きかけの認識及び実践


 個人の主体的なキャリア形成は、個人と環境(地域、学校・職場などの組織、家族、個人を取り巻く環境)との相互作用によって培われるものであることを認識しておく必要があります。


 個人の問題や悩みがあった際に、周りの環境から切り離して考える人は少ないでしょう。


 周りの環境との相互作用によって生じていると解釈するのが普通だと思います。


 相談者個人に対する支援だけでは解決できない環境(例えば、学校や職場の環境・・・相談者のみで、見立ててしまうと視野が狭く、効果的な支援ができない場合もある)の問題点の発見や指摘、改善提案等の環境への介入、環境への働きかけを、関係者と協力(職場にあってはセルフ・キャリアドッグにおける人事部門との連携、経営層への提言や上司への支援を含む)して行うことが求められる場合もあります。


 このように、相談者支援のためには、職場や環境、制度に対する知識も必要になってくるのです。


 

3.ネットワークの重要性の認識及び形成


 キャリアコンサルタントとして求められる行動は、勉強するだけではありません。自身の周りに様々なネットワークを作っておくことも重要です。


1. 個人のキャリア形成支援を効果的に実施するためには、行政、企業の人事部門など、専門機関や専門家との様々なネットワークを作れるように行動したい


2. ネットワークの重要性を認識した上で、関係機関や関係者と日頃から情報交換を行い、協力関係を築いておきたい


3. 個人のキャリア形成支援を効果的に実施するため、心理臨床や福祉領域をはじめとした専門機関や専門家、企業の人事部門等と協働して支援したい



 これらのネットワークの関係づくりは、次に記載している「専門機関へのリファー」に繋がる重要な視点と言えます。


 キャリアコンサルタントとして、対人援助を行う場合、一人で解決できない問題もあると思います。


 そうした際に、生かせるネットワークがあることは、キャリアコンサルタントの活動を行う上で、効果的なキャリアコンサルティングをクライエントに提供する上で有意義なものであると言えます。


 

4.専門機関への紹介及び専門家へのリファー


 キャリアコンサルタントとして活動していると、全てのことを理解して、全てのことに対応できるスーパースターになる必要があるのかと言えば、そうではありません。


 個人や組織などの様々なニーズ(メンタルヘルス不調、発達障害(発達障害の記事はこちら)、治療中の疾患を抱えた者)に応える中で、適切な見立てを行い、キャリアコンサルタントの任務の範囲、自身の能力の範囲を超えることについては、必要かつ適切なサービスを提供する専門機関や専門家を選択し、クライエントの納得を得た上で、紹介することができます。


 このことを、リファーと言い、キャリアコンサルタントの倫理的行動として求められています。


 例えば、キャリアコンサルタントは医者でないので、診断を下すことはできません。


 まずは身体の安全が優先されると判断した際には、「非常にお疲れの様子ですので・・・」といったように、医療機関への診察を打診することもキャリアコンサルタントとしての重要な仕事と言えます。


 

キャリアコンサルタントとしての自己研鑽


 キャリアコンサルタント倫理綱領(特定非営利活動法人キャリアコンサルティング協議会平成28年)を見ると、


(自己研鑚)

第4条

キャリアコンサルタントは、キャリアコンサルティングに関する知識・技能を深める、上位者からの指導を受けるなど、常に資質向上に向けて絶えざる自己研鑚に努めなければならない。


2  キャリアコンサルタントは、組織を取り巻く社会、経済、環境の動向や、教育、生活の場にも常に関心をはらい、専門家としての専門性の維持向上に努めなければならない。


3  キャリアコンサルタントは、より質の高いキャリアコンサルティングの実現に向け、他の専門家とのネットワークの構築に努めなければならない。


 と、しっかり書かれています。



 つまり、キャリアコンサルタントは専門家であるということを意識して自己研鑽に努めながら行動しなければなりません。


 ちなみに、専門家とは・・・


 "ある技芸や学問などの専門的方面で、高度の知識、また優れた技能を備えた人"


 と、言うことができます。


 そのため、キャリアコンサルタントの資格を取得したことで専門家になったとは考えず、専門家としての入場券を手に入れたことにしか過ぎないとも言えると思います。


 資格取得後の実務や勉強の積み重ねによって、キャリアコンサルタントとしての専門性がより磨かれるものであると、私も強く意識しておきたいと思います。


 

キャリアに関して勉強し続けたい知識


 最後に、キャリアコンサルタントとして活躍していくために、最低限勉強し続けたい領域をまとめてみます。


・職業心理学、キャリア心理学

・産業、組織心理学、生涯発達心理学(理論体系)

・仕事に関する知識(実際に働かれている方は、その実体験)

・職業に関する知識

・職業能力開発に関する知識(人材育成・教育)

・雇用管理、労働条件に関する知識(労務管理分野)

・労働市場に関する知識(時事的な潮流と指標)

・労働関係法規、社会保障制度に関する知識(法改正を踏まえて要チェック)

・カウンセリング理論


 その他、社会学、文化人類学、哲学分野も勉強しておくことは効果的かと思います。


 対人援助を行うということは、人よりもたくさんの勉強と知識習得に励む必要があると思います。


 私も、キャリアコンサルタント養成講習で教わりましたが、これからのキャリアコンサルタントは、有資格者という肩書きだけでは活躍できる幅は狭くなってくると思います。


 有資格者であり、どのような領域に自身の強みがあるのか自身をブランディングし、対外的に発信できるキャリアコンサルタントがより一層求められるようになると考えています。




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